2005年04月24日
セクハラ、虐待、着服…みどり園不祥事、監査でも見抜けず=宮崎
[焦点&論点]セクハラ、虐待、着服…みどり園不祥事、監査でも見抜けず=宮崎
◆県の監査でも見抜けず ワンマン元園長の顔色うかがう空気 理事会も形がい化
元園長らによる虐待行為やセクハラが県によって確認された、都城市の知的障害者更生施設「みどり園」(江口安也園長、利用者103人)。県によると、虐待は5件、セクハラは2件、加えて元園長の経費着服が約2070万円に及んだ。なぜ、このような行為がまかり通り、防げなかったのか。背景を探った。
県が虐待など確認された事実を発表した21日。同園を運営する社会福祉法人「博愛会」の高橋重年理事長(90)は会見で、「(元園長は)園を一族の財産だと思っていたのではないか」とこぼした。
元園長は、「博愛会」創始者の二男。1986年から2000年10月まで園長を務めた。体調不良のため園長から副園長に退いた後も、運営に指示を出し、一部の職員からは「オーナー」と呼ばれていた。
「気分が悪いときは異常に激しくしっ責される」「意見を言っても聞く耳を持たない」
こうしたワンマンぶりに、園内には元園長の顔色をうかがう空気がまん延していたという。
ある男性職員は「一人で園を作ってきた元園長に、我々は従い、見習ってきた。途中から意見が合わないことも出てきたが、意見を言っても否定される。そのうちに、なあなあになっていた」と振り返る。
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利用者へ5件の虐待をしたとされ、今月、懲戒解雇された男性職員(39)の暴力は、ほかの職員の間でも話題に上っていた。ところが、そうした暴力行為は表に出さないよう、元園長が一部の職員に指示をしていたという。昨年の監査時は、元園長は副園長として在籍していた。そのことで、虐待が明るみに出なかったとみられる。
「毎日利用者と顔を合わせているため、つい感情的になりやすい」。江口園長は、虐待の背景にこうした環境があったのではないかと指摘する。職員の1人は「(利用者は)けんかが起きたり、トラブルは多い。我々も必死に止めることがある。暴力と指導の線引きは難しい。何度言っても理解してもらえず、ストレスがたまることが多い」と打ち明けた。
本来、園の運営を把握すべき理事会も、形がい化していた。会は保護者代表、県、市のOB、園長、地区の代表、理事長の6人で構成される。しかし「マスコミの報道の方が、我々より詳しかった」(高橋理事長)という有り様だった。
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県は、毎年、同園へ監査を行っていた。にもかかわらず、昨年4月に園関係者から情報が寄せられるまで、虐待などの事実はつかめなかった。
県福祉保健部は、県内296の社会福祉法人が運営する約500の施設に対し、通常、年1回の監査を実施している。職員の代表には待遇について聞き取りもしている。
しかし、監査を担当する福祉保健課幹部は「ここ数年、通常の監査で、虐待、セクハラを発見した記憶はない」と話す。
経理についても、元園長は、雇用契約書や銀行口座の振り込み記録などをそろえていたため、監査では不正を見抜けなかった。何らかの情報提供がなければ、不正や不祥事を発見できないのが監査の実情だ。
障害福祉課幹部も「監査は一定の抑止力は果たしている」とする一方で、「記録や証拠書類がなければ、こちらから指摘しようがない」と、白紙の状態で行う監査の限界を認める。
県は21日、みどり園での不祥事を県内の社会福祉法人に報告。利用者の処遇の充実や会計事務を含めた、より一層の適正運営をするよう、各法人に求めた。みどり園へは刑事告訴するよう指導したことで、「今後は司法が決着してくれるだろう」との立場だ。
しかし、県としても、監査の際、時間を惜しまず複数の職員へ個別に聞き取りを行うなど、改善の余地があるだろう。監査が本当の抑止力とはなっていないことを、今回の不祥事は示している。
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同園は今後、研修による職員のモラル強化、苦情対応体制の確立など、8点からなる改善計画に取り組む。「以前と、送り迎えの保護者の目つきが違う。疑いの目で見られている」と男性職員。信頼を取り戻す道のりは遠い。(坂田元司、大石健一)
◇県が確認したみどり園の不祥事=表略
[読売新聞 2005年4月24日(日)]
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