2005年03月17日

草の実学園暴力問題

徳島新聞
社  説

原因究明し再発防止を

 鳴門市大麻町の知的障害者更生施設「草の実学園」で、入所者ら十二人が職員から嫌がらせや暴力行為を受けていた問題が関係者に衝撃を与えている。

 障害を抱えながら懸命に生きている入所者や家族は、言い知れない憤りを覚えたことだろう。

 草の実学園は県内の知的障害者施設の草分けともいえる代表的な施設だ。それだけに、こうした問題が起きたことが悔やまれる。

 徳島県も関係者から事情聴取して事実関係の把握に努めている。なぜこうした事態が一年半も続いたのか、究明する必要がある。その上で、二度とこのような問題が起きないよう対策を徹底してもらいたい。

 嫌がらせをしていたのは、生活介助担当の若い臨時職員だった。

 指導に従わないなどの理由で入所者や通所者の腕をねじ上げたり、体の特徴をからかったりするなど嫌がらせを続けていた。本人は大筋で事実関係を認めているという。

 被害に遭ったのは、重度の障害を持つ人ばかりだった。自分で抗議できない人たちに嫌がらせをしていたのだろうか。苦情を受け付ける制度はあったが、活用されなかった。

 臨時職員は二年前に採用され、近く正規職員になる予定だった。この仕事に就いたときは、障害者のために役立とうという気持ちがあったのだろうが、それはどこにいったのか。こんな事態になって返す返すも残念だ。

 気になるのは他の職員が嫌がらせに気がついていながら、問題にしなかったことだ。多くの職員は見て見ぬふりをしていたのだろうか。職員全体の意識が問われるところだ。

 障害者施設の職員は、とりわけ人権に敏感であるべきだ。常に弱者の立場に身を置き、生活指導に取り組まなければならない。それができなかったのだから、人権感覚を磨く研修の強化が必要だ。その際、形式だけではなく、実際に効果が上がる研修にしなければならない。

 障害者施設では、ときとしていじめや体罰が起きる。

 徳島県内では一九九九年に松茂町の知的障害者施設で、無断外泊をした若い寮生の手に、もぐさを乗せてやけどをさせるという虐待があった。これには複数の職員がかかわっていた。

 板野町の知的障害者通所更生施設でも九七年に障害者への体罰があり、それが原因で通園拒否が起きた。その都度、事実関係や原因を調査し、関係者は再発防止を心掛けてきたはずだ。

 しかし、その後も虐待や嫌がらせが起きていることを考えると、教訓が生かされてきたとは言えない。

 そうした中でも、障害者の人権を守り生活の質を向上させようとする動きも出ている。四年前に発足した「徳島当事者擁護ボランティア・HOPS(ホップス)」もその一つだ。弁護士や大学教員らが障害者の悩みを聞き取り解決策を考えようとする集まりである。こうしたグループを育てる視点も必要だ。

 全国的にも知的障害者の施設でいじめが後を絶たない。職員の人権感覚が鈍っているのではないかと思われる。

 一般的に障害者施設は閉鎖的になりがちだ。施設運営の面でも風通しをよくすることが欠かせない。

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