2004年01月08日
「三位一体」・障害者施設補助金 増額へ議員60人動く
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[改革ゲーム]/5 「三位一体」・障害者施設補助金 増額へ議員60人動く
◇“応援”ない地域福祉、バッサリ
地方への補助金削減などを進める「三位一体改革」。補助金のうち、身体・知的障害者のため昨年4月に導入された「支援費」をめぐり、総勢60人以上とされる国会議員が動いていた。
国会脇の衆院第2議員会館301号室。02年11月下旬、財務省の主計局次長を前に、自民党の野中広務元幹事長は口をとがらせた。「君らは格好良く『障害者の選択』とか言っているが、制度の名前を変えることで銭目を減らすこと(が目的)じゃないのか」。同じころ、自民党本部4階の幹事長室では山崎拓幹事長(当時)が厚生労働省の障害保健福祉部長に注文した。「障害者施設団体の話をよく聞いてやってくれ」
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支援費制度では、施設への入所が行政による措置から障害者が選択する契約へと変わる。政府の新障害者基本計画(02年12月)は地域での障害者の自立を強く打ち出した。02年9月、厚労省から予算の概算が示されると、全国2000以上の入所施設経営者に衝撃が走った。施設ごとの補助金から入所者1人当たりを基準にした補助金に変わり、多くの施設で減額となっていた。全国身体障害者施設協議会(身障協)によると、1施設で年間最大6700万円の収入減という。
身障協や全国社会福祉施設経営者協議会(経営協)、全国社会就労センター協議会(セルプ協)、日本知的障害者福祉協会(福祉協会)など5団体は厚労省に施設への予算増額を求めたが、成果はなく、11月12日の協議の席で通告した。「国会議員にお願いせざるを得ない」
既に自民党障害者特別委員会の八代英太委員長ら福祉関係議員が厚労省に働きかけていた。しかし、同党知的障害者対策議員連盟の関谷勝嗣会長らとの11月20日の朝食会でも厚労省は「ゼロ回答」。団体側は、福祉関係議員に限らず、有力議員らに一斉陳情を始めた。
身障協会長は野中氏に依頼し、経営協役員は22日に橋本龍太郎元首相の事務所を訪ねた。福祉協会は各地の会員に議連の一覧表を流し、それ以外の議員にも働きかけるよう呼び掛けた。セルプ協の会員も旧知の議員に依頼した。5団体は連名で議員への要望書を作り、議員の元を回った。
野中氏は「私自身が身障者施設の理事長。金目の話では厚労省に当事者能力はないと思い、財務省に電話したら説明に来た」、橋本氏は「山(登り)の仲間の経営協の人が来たし、厚労省の諸君も相談にみえるが、何の話かいちいち覚えていない」と話した。
財務、厚労省に足掛かりのない議員は山崎氏に依頼した。山崎氏は「件名は思い出せないが、障害者施設の予算を再検討するよう言ったことはある」と語った。
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支援費導入に伴い、施設に入所する知的障害者の自己負担が月2万円前後増える問題も持ち上がった。親たちでつくる「全日本手をつなぐ育成会」は02年11月15日、約136億円に上る負担増を認める代わりに、地域福祉の整備を求める緊急要望書を厚労省に提出していた。「反対の声もあったが、地域福祉の貧困さが入所施設依存を強めていると思い、決断した」(松友了・育成会常務理事)
翌12月、施設への予算は結局、支援費導入前の水準に戻り、補正予算でさらに約120億円が追加された。これに対し、入所者の自己負担増分は施設への義務的経費とされ、地域福祉に充てられることはなかった。逆に、地域福祉の要とされる地域療育等支援事業費など70億円余が突然、「三位一体」で一般財源化され、補助金から消えた。当時の厚労省担当者は言う。「議員が動かなくても概算のまま行くつもりはなかった。当初から目いっぱいの金額を出すと、その後の団体との交渉が難しくなる」
地域福祉を推進する福祉団体の元理事長は12月9日、厚労省でこの担当者から告げられた。「地域福祉には『応援団』がいないじゃないか」。「三位一体」とは裏腹に、議員の声の大きな分野だけ補助金が膨らんでいく。=つづく
■写真説明 障害者施設などの5団体が国会議員向けに作った要望書と議員の一覧表
[毎日新聞 2004年1月8日(木)]
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