2003年11月24日

支援費ホームヘルプ 予算50億円不足か 予想超える利用増

11/24 福祉新聞
支援費制度の今年度ホームヘルプサービス予算が大幅に不足する見通しであることが14日までに分かった。厚生労働省が今年4月分と5月分の利用状況から試算し、「予想以上の利用増。このままいけば足りない」ことを確認した。厚労省は「なんとか予算をかき集めて対応する」と最大限努力する姿勢だが、自治体からは、「結局は地方に負担を押しつけるのか」と不満の声も上がっている。同時に「財源確保のためには介護保険に組み入れる方法も検討すべき」との声も。障害者らは生活不安と危機感を募らせている。

 厚労省は、支援費制度がスタートしてからの4月と5月の利用分の実績を基に、来年3月めでに必要となる国庫補助金を試算した。

 事業費ベースで、4月分が53億3千万円、5月分が59億9千万円。しかし、厚労省が計上した今年度予算額は278億円。このペースで利用が増えると仮定すれば、当初予算を大幅に超え、今年度は330億円ほど必要で、50億円余り不足すると厚労省は見る。

 国が2分の1、都道府県と市町村が4分の1ずつ負担する仕組みのため、厚労省は「国の予算は足りなくなる。2分の1も補助できないかもしれない」と自治体へ伝えた。

 厚労省は、補助金不足に陥る理由を「予想を上回る利用増だった」としている。措置制度だった昨年度と支援費制度に変わった今年度の4月分の総費用を比べると、その伸び率は約35%だ。高原弘海・障害福祉課長は「6月以降も引き続き伸びているのか、自治体からの情報集めを急いでいる。国としてはなんとか2分の1補助できるよう、他の費目からかき集めて対応するつもり。最大限努力する」と説明している。

 ホームヘルプサービスは、補正予算が付く保障のない裁量的経費に計上されている。「本来は義務的経費に計上されるべき」との指摘も多いところだ。

 不安現実に  自治体:負担押しつけと不満 障害者地域生活検討会

 障害児者の地域生活支援の在り方について議論している検討会では、何度も「支援費の予算が足りなくなるらしいと自治体から聞く。一刻も早く具体的な議論と対策を」と不安・焦りの声が上がっていた。1月の上限問題で大抗議行動を起こしたことが記憶に新しいからだ。そこで、日本身体障害者団体連合会、日本障害者協議会、DPI日本会議など7団体は12日、共同で厚労省の塩田幸雄・障害保健福祉部長らと交渉し、「国が市町村に対して十分な補助をするよう、必要な予算を確保してほしい」と要望書を提出。試算内容と予算不足の見通しは、そこで明らかにされた。

 また、14日に開かれた第11回検討会でも、厚労省から試算内容と見通しが説明され、7団体共同の緊急要望書が改めて提出された。予算不足の事態に、自治体も声を上げている。

 この日、検討会で地方からのヒアリングが行われた。浅野史郎・宮城県知事が出席し、「制度施行の初年度なのに憂慮すべき事態。地方自治体に一方的に負担を押しつけるようでは到底納得できない」と全国知事会の見解を発表した。その上で浅野知事は「財源確保のため、介護保険制度見直し議論の中で十分議論してほしい」と求める。

 ただし、支援費サービスを介護保険制度に組み入れる案に関しては、障害のある当事者委員らから「高齢者と障害者とでライフステージが違い、一本化は無謀だ」「もっと使いにくくなるのではと心配」といった反発が大きい。浅野知事は「個人的な意見」と断った上で、「現実問題は、財源を税金にするか保険にするか。目的がはっきりする保険の方が国民の理解を得られるのではないか。介護保険導入の時のように、特別な人のためだけの制度ではないと国民に関心を持ってもらうチャンス」と語った。