2003年05月16日
温情判決:自閉症の長男を殺した男性に執行猶予 神戸地裁
毎日新聞
養育の悩みから自閉症の長男(当時14歳)を殺して殺人罪に問われた神戸市北区道場町生野、元新聞販売店従業員、田中建典(けんすけ)被告(57)に対し、神戸地裁は15日、懲役3年、執行猶予5年(求刑懲役6年)を言い渡した。笹野明義裁判長は、情状酌量で「できる限りの世話を長年続けるなど同情できる点が多い」と述べた。田中被告の友人や医療関係者、障害者団体などから、刑の減軽を求める嘆願書約2万人分が集まっていた。
判決によると、田中被告は昨年7月24日正午ごろ、自宅2階で寝ていた長男の首をコードで絞め窒息させた。自らも遺書を書き、自殺をしようとしたが死にきれなかった。
長男は2歳ごろから言葉の成長が遅れ、他人の視線を感じて暴れるパニック症状が出るようになり、養護学校入学後、知的障害のない「高機能自閉症」と診断された。昨年7月には症状が悪化した。笹野裁判長は「安らかな長男の寝顔を見て、『これ以上苦しむ姿を見たくない』と発作的に起こした犯行」と述べた。また、長女が交通事故に遭うなどして精神的に追い詰められた背景がある、と指摘した。
弁護人は「被告の子どもへの愛情を理解した判決で評価できる」と話した。【井上大作】