1997年12月30日

<障害者虐待>白河育成園解散へ 体罰などで園生が減少

 知的障害者への暴力や薬物の過剰投与が問題になっている白河育成園(福島県西郷村、渡辺留二理事長)の理事会が解散を決議していたことが29日分かった。職員らに同日、解雇通告を行うとともに取引先銀行に廃止を伝えた。渡辺理事長が清算人に就任し、土地や建物を処分し約1億4000万円の借金の返済に当たる。障害者施設が廃止に追い込まれたのは全国初。医師法違反や暴行容疑で理事長への捜査が行われる中、施設そのものが解散する異例の展開になった。

 関係者によると、同園を経営する社会福祉法人・幸愛会の理事会が26日に開かれ、渡辺理事長から自主解散に関する説明があり、協議したうえで了承を得たという。来月初め、福島県に正式に廃止届を提出する予定。

 同園は昨年1月に認可され、31人の園生に対する施設運営費(1人当たり毎月約28万円)が、ほとんどの園生の出身地である東京都内の区市などから支出されていた。ところが、体罰や薬の大量投与が明らかになり、これまでに計24人の園生が退所したため大幅に運営費が削られ、経営が行き詰まっていた。

 現在、園には7人の障害者が残っているが、東京都と福島県に緊急保護を求めており、来月11日までに保護先が決まる見通しという。また園側は職員15人全員に対し、来月31日付で解雇することを通告した。

 渡辺理事長らは医師法違反などで告発され、福島県警が19日に同園を家宅捜索するとともに渡辺理事長や職員から事情聴取。さらに被害者側弁護団は複数の女性園生に対する性的虐待があったとして理事長らを告発することを決めている。「追い詰められた理事長がこれ以上責任を追及されることに耐えられなくて投げ出した」と弁護団は話す。

 渡辺理事長は「園生が少なくなり職員らに給料も払えず、これ以上運営していけなくなった。10年間何のためにやってきたのか、残念無念だ」と話した。 【障害者虐待取材班】

 [毎日新聞12月30日]